年齢とともに現れるシワ。
シワが気になるパーツと言えば顔や首、手ではないでしょうか。
これらのパーツに共通しているのが、洋服に覆われておらず露出しているため紫外線を浴びる時間が長い、ということです。
逆に洋服に覆われている部分は、歳をとっても、顔に現れるような深いシワはほとんど気になりません。
ということで、今回は紫外線による光老化であるシワについての話をしたいと思います。
目次
紫外線について
皮膚に影響を与える紫外線には、波長の異なるUV-AとUV-Bがあります。
それぞれ皮膚にどのような影響を与えるのか、みてみましょう。
UV-A
UV-Aは波長の長い紫外線で、皮膚の奥までダメージを与えます。コラーゲン線維成分など、皮膚の弾力を保つ真皮層まで届くため、シワやたるみなどの原因となる紫外線です。
UV-Aは窓ガラスを透過するため、室内でも油断はできません。
室内で過ごすことが多くてもシワができてしまうのはこのためです。
UV-Aを防御するには、PA値をみます。
PAとは、UV-A波を浴びてから、持続的な皮膚を黒くするのにかかる時間を、そのサンスクリーン剤を使うことで何倍に伸ばすことができるか、という値のことをいいます。
つまり、皮膚が黒くなる時間をどのぐらい遅らせることができるか、ということです。
PA値:PA+は2~4倍以下、PA++は4~8倍以下、PA+++は8倍又はそれ以上を表します。
また、UV-Bほど皮膚を日焼けするパワーはないものの、時間をかけてじわじわと皮膚を黒くします。
UV-B
UV-Aよりも波長が短く、4つの層からなる表皮の一番下の層である基底層までしか到達しない紫外線です。
表皮の下にある真皮には影響を与えませんが、基底層まで到達するため、シミの原因であるメラノサイトを刺激してしまいます。
メラノサイトは紫外線によるダメージを受けると、その防御反応でメラニン色素を合成します。
メラニン色素が過剰に合成され、剥がれきれずに蓄積されることでシミが発生します。
UV-Bの防御には、SPFの値をみます。
SPFとはUV-Bを浴びた皮膚が、赤く日焼けを起こすまでの最小時間を、サンスクリーン剤によって何倍に伸ばすことができるか、という値のことをいいます。
SPF値:UV-Bを浴びたとき、1時間で皮膚が赤くなるところ、サンスクリーン剤によって10時間に引き延ばすことができる場合、SPF=10と表します。
紫外線によるシワ
光老化
皮膚の老化には、加齢による老化と、紫外線による光老化があります。
年齢を重ねるとコラーゲンの産生は減少し、皮膚のたるみなどが起こります。また、皮膚は薄くなり、水分量が減りカサカサした肌になります。これが加齢による皮膚の老化です。
光老化とは、紫外線の刺激が皮膚の弾力を保つ組織にダメージを与えることで、皮膚の深いシワやたるみが引き起こされることをいいます。
極端に言うと、光老化は紫外線対策を徹底していれば防ぐことができるのです。
光線性弾力線維症
皮膚の真皮は、主にコラーゲン線維から形成さており、弾力線維がコラーゲン線維の間を引き締めるように張り巡られています。
UV-Aがコラーゲン線維組織などのある真皮に到達すると、活性酸素がコラーゲン線維を破壊し弾力線維の過形成が起こります。
これを光線性弾力線維症といいます。
弾力線維の異常産生こそシワの原因。
幼い頃から紫外線をよく浴び、弾力線維の異常産生が蓄積されると、加齢とともにシワが現れるのです。
シワの予防
紫外線対策
原因である紫外線をとにかく浴びないことが重要です。
シワの原因であるUV-Aは、ガラスを透過するため、日頃からサンスクリーンを使用すると効果的でしょう。また、UV-Aは雲も関係なしに降り注ぎますので、曇っていても油断はできません。
UV-Aの防御の大きさはPA値で表すので、PA値を見てサンスクリーン剤を選ぶといいでしょう。
コラーゲンの産生
シワの原因である光線性弾力線維症の起きてている組織の上に、新しく産生されたコラーゲンが覆うことで、シワが消えることが分かっています。
したがって、真皮の細胞を刺激してコラーゲンの産生を活発にする作用のあるクリームなどの使用が効果的です。
即効性を求める一部の方が、コラーゲンやヒアルロン酸の注射を行うのはこのためです。